蕎麦特集
手軽に食べられてバリエーション豊富な麺類は、学食や社食の人気メニュー。
麺類は栄養が偏りそう…という人にもおすすめの食べ方や、そばの魅力をご紹介します。
今月はそば粉を使って夏バテ対策にも最適な食養生レシピを紹介します。
夏の暑さで体内に溜まった熱を冷まし、弱った胃腸を活発にしてくれる食べやすい一品です。
蕎麦の歴史
冷涼で乾いた痩せた土地でも育つそばは、他の穀物に比べて栽培しやすく収穫も早いことから、 古くは奈良時代から救荒作物として重宝されてきました。
鎌倉時代には中国から石臼の技術が伝来して、 大量のそば粉を挽くことができるようになり、主食として浸透していきます。
初めはそば粉を練った「そばがき」や団子のような形で食べられていたそばが、現在のような細切りの麺の形になったのは江戸時代から。
当時の主流だったうどんから徐々に人気が移り変わり、江戸後期には町中にそば屋があるというほど、庶民の食文化に根付いていきました。
今では駅の構内でもお馴染みの立ち食いそばも、江戸時代に広まったそばの屋台がルーツです。
蕎麦の栄養的特徴
茹でそば1玉分(180g)とごはんお茶碗1杯分(150g)のエネルギーは同じ234kcal、主食としてのそばのカロリーは比較的低めです。
含まれる栄養価の特徴を見てみると、そばにはごはんの3倍のビタミンB群が含まれています。
ビタミンB₁は糖質、ビタミンB₂は脂質の代謝を助け、また、そばに含まれるルチンという抗酸化作用の強いポリフェノールには、ビタミンCの吸収を助けて毛細血管を強くする働きがあります。
ビタミンB群もルチンも、水に溶けやすい水溶性ビタミンなので、そばを茹でた後のそば湯を飲むと、 溶け出したビタミン類を補えます。そばつゆは塩分が濃いので、飲み過ぎには注意しましょう。
薬膳の観点から見る蕎麦
薬膳の考え方では、そばは体の熱を除いたり炎症を鎮める性質をもつ食材とされていて、夏の食養生に適した食材と言われています。
また、「氣」と呼ばれるエネルギーの巡りを良くして、消化を促す働きが期待できます。夏バテで食欲がない時には、食べやすいそばから食事を始めるのもおすすめです。
また、熱を取る働きのあるそばは、食べすぎると体を冷やしてしまいます。
そんな時は、生姜、ネギ、大葉、みょうがなど、体を温める働きのある薬味を加えることで、冷やす働きを和らげられます。